『探偵はバーにいる』を読みました。面白かったです。
ミスタ・スーパ・ニッカ
以前に大泉洋の主演でシリーズが映画化され、大学の卒業旅行で行った北海道でちょっとだけ歩いた札幌、ススキノが舞台ということで、勝手な近親感を抱いて、よし!と意気込んで購入して本棚に埋もれていた文庫が、年100冊のひとり読書マラソンの中で、ふと一息した時に目に入ってきて、つい手に取ってしまったからです。
人気シリーズということで、期待にもれず面白い作品でした。
年代設定的に今から20年以上前なので、いろいろと社会のインフラは今と違っていますが、それでも、作品はあまり「古さ」を感じさせません。
なにより、探偵というよりグレーゾーンをふらふらする便利屋という感じの「俺」の、軽く、時に皮肉っぽい会話や、地の文のリズムが読んでいて気持ちいい。
ミステリーとしての筋書きというよりも、登場人物たちの織りなす会話や、雑多なススキノの風景、そして全体からにじみ出る、北海道、札幌への愛的なものが、自分をなかなか飽きさせませんでした。
そして、よくまあ、成長期の男子中学生がバックで牛乳を飲むかのようなノリでウイスキィをストレートでがぶがぶいくような人間がいるものだなと。
いや、もちろんフィクションですが、それでも、「見ていて飽きない」というか。
で、本書の紹介は、新刊でもなんでもないし、僕が語ることに意味はないのです。
思ったのは、やっぱり、もっといろいろな本を読むべきだなあ、ということ。
読書冊数の目標を掲げていて、現状それなりに順調な進捗ですが、そういうことをしているということはもちろん逆に言えば、普段ナチュラルに息を吸うように本を読んでいるわけではないということです。
小説も、大学時代に森博嗣にハマって当時出ていたほとんど全作を読んだりしましたが、それでも「たくさんの本を読んだ」という感じではないです。
今回「探偵はバーにいる」を読んで、面白かったのですが、同時に、もったいないと思ったんですよね、自分が本をあまり読んでいないことが。
オーバーですが、自分の知らないところに、こんな世界があるんだ!ということ感じが久しぶりにしました。
小学生みたいですけどな。
ビールを飲み、うな重を食べつつ、金曜の夜にハードボイルド小説を読むというのも、なかなかどうして悪くありません。
あと全然関係ないですが、シリーズの次作を買おうと思っているのですが、なんとなく、紙の本を買いたい気がしています。
本作も、先に述べたとおり文庫版を読んだのですが、なんとなく、鞄から取り出してページを捲るという流れが、心地よかったです。
久しぶりの感覚。
やっぱり、実務の本と、文芸書は、違うのかなあ、とものすごく抽象的なことをぼんやり考えました。
紙の本も、きっとなくならないんでしょうね。
ではでは〜。