『産めないから、もらっちゃった!』に描かれる「普通の特別養子縁組」

Baby

特別養子縁組という福祉制度があります。

もともと日本の養子制度は「家を存続させるため」に作られたところがあり、跡継ぎとして家督を継がせるために、実親との親子関係も保ったまま、養親と法的な親子関係となる、というものでした。
これは普通養子縁組制度と言います。

特別養子縁組は、子どもの福祉のために作られた制度で、実親が子どもを育てることが難しい場合などに、養親が子どもを養育し、自分の子どもとして育てられるようにするというもの。
特別養子縁組が成立すると、実親との親子関係はなくなります。

『産めないから、もらっちゃった!』は、その特別養子縁組で親子となった家族(作中での呼び名は「メイプル家」)のお話。
ブログの書籍化で、書いているのは養子縁組で子どもを授かった(本人いわく「もらっちゃった」)お母さんです。

産めないから、もらっちゃった!

産めないから、もらっちゃった!

  • 作者: うさぎママ,りさり
  • 出版社/メーカー: メタモル出版
  • 発売日: 2012/10/26
  • メディア: 単行本

特別養子縁組という制度については基本的なことは知っていましたが、当事者の方にお会いしたことなどはなく、本を通してひとつの家族のかたちを知ることができ、とても参考になりました。

一番強く感じたのは、「産みの親が別というだけで、それ以外は普通の家族だ」ということ。
頭ではわかっていたつもりでも、自分の中で「なんとなく特別なこと」になっていた特別養子縁組が、とても身近なものに感じられました。

そんな素敵な家族のあり方を実現させているのは、「とにかくオープンに話す」というメイプル家の方針なのではないかと思います。

子どもと何でも話せる関係を作るというのは、もちろんどんな家族でも大事ですが、特に、特別養子縁組では、産んだ女性は別であるという真実告知の問題があります。

正直、中学生くらいになって、それなりに物心ついてから話すものなのかなと思っていたのですが、メイプル家では、小学校に上がる前から繰り返しお子さんに伝えるということをしていたそうです。

その上で、お子さんの通う小学校や中学校でも、先生たちに特別養子縁組での親子であるということをあらかじめ伝えておいたとのこと。

どちらも、かなり大変なことだったのではないかと思いますが、実際、そういった密なコミュニケーションを下地にして、メイプル家のお子さんはとても素敵な家族生活・学校生活を送られたようです。

僕も1歳半の娘がいますが、「子どものため」というのはまさにこういうことなんだなあと、改めて考えさせられました。

全体を通して雰囲気は明るく、とても読みやすい文体で、月並みな言い方ですが、「特別養子縁組だろうがなんだろうが、普通に幸せで素敵な家族なんだな」というのが感じられる良い本でした。

特別養子縁組はまだまだ一般的ではなく、社会の理解が進んでいるとは言い切れないのが現状だと思います。
そんな中で「もらっちゃった」というのはなかなかに目を引くタイトル。最初は違和感がありましたが、読み終わると「なるほど、それもアリかな」という感じです。

産めないから、もらっちゃった!

産めないから、もらっちゃった!

  • 作者: うさぎママ,りさり
  • 出版社/メーカー: メタモル出版
  • 発売日: 2012/10/26
  • メディア: 単行本

ちなみに特別養子縁組についてはこちらの本に制度の成り立ちなど詳しく書かれています。
興味があればぜひご一読ください。

「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす?愛知方式がつないだ命? (光文社新書)

「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす?愛知方式がつないだ命? (光文社新書)

  • 作者: 矢満田篤二,萬屋育子
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/02/20

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